Microcapsule---Wisdom96

マイクロカプセルは1950年代にアメリカで発明されました。今では医薬品から食品や衣料品に至るまで様々な分野で利用されています。香りのするハンカチ、色の変わるスキーウェアや人工イクラ等もこの技術から生まれた製品です。「ネズミが齧らない電線」「蚊やダニを寄せ付けないストッキング」等も同じです。ポラロイドカメラもそうですね。この技術を用いて初めてノーカーボン紙が実現できたのです。

マイクロカプセルに入れると

ただ、学校の施設では小さなマイクロカプセルと作り出すことはできません。ですから、ちょっと大きなマイクロカプセルになってしまいますね。しかし・・・

長持ちさせられる
蒸発しやすいものでも容器の中で長く保存
分離をさせられる
反応しやすいもの同士でも容器に入れれば安全
見かけをかえられる
液体も容器に入れれば固体に
時間を制御できる
容器に小さな穴を開ければ徐々に蒸発する

今回は、アルギン酸Naを用いて、マイクロカプセルをつくり、その中にいろいろな物質を入れてみてカプセル膜の性質を考えると共に、他の実験に使えないのかを確認していきたいと考えています。




【 試 薬 】

アルギン酸ナトリウム//塩化カルシウム//BTB//デンプン//ヨウ素ヨウ化カリウム溶液//ベネジクト液//etc

【 器 具 】

ビーカー類//ピペット//ガラス棒//漏斗//ガーゼ//etc

【 手 順 】

@ビーカーに100mlの水を取って1gのアルギン酸Naを少しずつ加えて攪拌して良く溶かす。

A塩化Caを20gビーカーにとって100mlの水に溶かす。

Bピペットなどを用いてアルギン酸Na水溶液を塩化Ca水溶液の中に滴下する。

Cカプセルを溶液から濾別する。

D濾別するとできたカプセルが残る。カプセルのサイズはピペットの大きさなどで調整する。

【 理 論 】

このカプセル作成方法は不溶化反応法という方法。アルギン酸のナトリウム塩は水溶性。しかし、アルカリ金属以外の塩は不溶性。アルギン酸Naを含む水滴が、塩化カルシウム水溶液の表面に触れると、表面にアルギン酸Caの不溶性膜が生成されるので、カプセル化するのです。

この膜は半透膜です。しかし非常に丈夫な膜であり、数週間水につけておいても膨潤でさけることはありません。

カプセル内の物質はアルギン酸と反応しなければ、どんな物でも閉じこめることができるようになるわけです。




今回の取り組みの様子〜クリックすれば大画像

いつものようにはじめは慎重。ここでは電子天秤です。が、その後はビーカーで水量を測ってました・・・。

粘度がかなり高く、また、『玉』になりやすい。そこでスターラーの登場です。こんなのあったんだ。

できたアルギン酸ナトリウム水溶液をとあえず3等分。すでに精密さなどは微塵もありません。

今回はピペットで滴下しました。これは生徒からもうけるでしょう。一瞬でカプセルができます。

見にくいですが、このときカプセルは沈んでいます。

『濾過』ッて書いたのに速く取りたいがために薬匙で。急がば回れです。結局。

濾過はガーゼで十分です。もっとも効率の良い方法でしょう。

これはBTB入りのカプセルの写真ですが、見事にカプセル化されています。

早速手にとって弾力チェック。ん?なかなか堅いぞ。

BTB入りのカプセルをいろいろな液体に入れたところ。きれいに色が変化します。おいしそうに見えたりして。

これはデンプンを入れたカプセルを、ヨウ素液に入れた物。きちんとヨウ素デンプン反応が・・・。

これはジアスターゼをカプセルに入れた物。デンプン液の中に入れましたが、反応は無しでした。ざんねん。




今回の実験でわかったこと・わからなかったこと

廃液の処理はきちんと反応させてから行うこと。そのまま流すときっと大変です。

ベネジクト反応を試そうと思ったのですが無理でした。多分アルギン酸カルシウムとベネジクト液の中の硫酸銅が反応するためではないだろうか?

今回使った試薬は基本的には非常に安全性の高いものが多い。

フェノールフタレインなどの指示薬でもばっちりだった。

アルギン酸の半透膜の性質をもっと突き詰めたい。

BTB入りのカプセルを手でさわるとカプセルはどんどん黄色になる。

大型のカプセルを作るにはそれなりのテクニックが必要である。

人造イクラもこの手法で作られている。いつかやってみたい。

コンブからアルギン酸ナトリウムを取り出す方法もある。これも今度やってみたい。