<!BODY onLoad="timerONE=window.setTimeout('scrollit_r2l(100)',500);"> WISDOM96 Special 〜センチュウ(C.elegans)の卵割




 私たちWISDOM96の取り組みとして、【ミンクの頭骨標本】作りを行いました。
なかなか入手できないミンクの頭骨を何とかいろいろな人に利用していただこうと「北村ミンク」さんの協力を得て、全国の先生たちに無料配布を行いました。
今回のこの取り組みは、そのミンクの頭骨をきっかけにして知り合った、青森県の先生の取り組みをWWW上で公開しようというものです。
 今回の紹介する「センチュウの卵割」は、青森県の相馬恵子先生が取り組んでいる、 【理科の授業における、生命尊重を重視した授業のあり方とその教材化】 という研究の過程です。


C.elegansに関する情報源 】
エレガンス情報
遺伝研のホームページ


C.elegans研究の歴史】

  1. 1900 Maupusによってアルジェリアで最初に採集される
  2. 1946 Stanilandがイギリスのブリストルで腐敗したキノコから再び採集
  3. Doughertyらが遺伝学研究のモデル実験動物とすることを提唱
  4. Nigonらは生殖系・配偶子形成の研究を展開
  5. Brennerやvon Ehrensteinは行動の問題に遺伝学的なメスを入れるために利用
  6. 現在は世界中の研究者に様々な場面で利用されている
  7. 現在のN2といわれる株は、Stanilandが採集してDoughertyが飼育方法を確立したブリストル株(Caenorhabditis elegans)である。



C.elegansの特徴】

  1. 動物の必要最小限の体制をすべて備えていながら細胞数が1000個程度(雌雄同体は959個、雄は1031個)
  2. 受精から成虫になるまでの全細胞の発生系統樹が完成している
  3. 神経のネットワークの解析が完了している
  4. 302個の神経細胞すべての軸索の行方、シナプスの位置がわかっている
  5. 100Mbpに及ぶDNAのゲノムマップも完成している


C.elegansの生活史】

  1. 雌雄同体で自家受精で増殖する
  2. 一匹の個体の産卵数は約300個
  3. 卵は20度では約半日で孵化する
  4. 幼虫は3日半で4回脱皮して成熟する
  5. 餌が不足すると二齢期の幼虫は脱皮後に耐性幼虫になり餌がなくても数週間生存
  6. この幼虫に餌を与えると正常な成長過程に戻る
  7. 染色体構成は雌雄同体で5AA+XXであるが、性染色体不分離で約700個体に一体の割合で雄が現れる
  8. 雌雄同体の個体が精子を作り始める前に交配すると雄の精子を優先的に使う


C.elegansの飼育方法】
飼育するための無菌培地が開発されているが、通常は無機塩類を含む寒天培地上で餌として大腸菌を与えておくだけで十分である。

【大腸菌用培地】〜シャーレ約25枚分
この寒天培地に大腸菌を塗布して37度で一昼夜培養する。
大腸菌は増殖後ラップ等で包み冷蔵庫で保存する。

【大腸菌用培地】
4k jpg 餌となる大腸菌を培養している,大腸菌用培地。白く見える固まりがコロニー です。
もう,1ヶ月以上冷蔵庫で保存しているので,寒天がひび割れてしまい ました。



バクトペプトン

   10g

酵母エキス

    5g

塩化ナトリウム

    5g

寒天

   20g

蒸留水

1000ml



【エレガンス用培地(NGM培地)】

塩化ナトリウム

  3.0g

バクトペプトン

  2.5g

寒天

  17g

蒸留水

 975ml

上記を滅菌して、次を追加する

コレステロール*1

1ml

1M塩化カルシウム

1ml

1M硫酸マグネシウム

1ml

1Mリン酸カリウム緩衝液*2

5ml

*1 エタノール1mlにコレステロール5mgを溶かした物
*2 1M/KH2PO4:1M/K2HPO4=25:7
センチュウ類は一般に低温には強いが、高温には弱いので、最適温度は20度ぐらいで
25度を越えないように注意する。

C.elegans用培地
8k jpg エレガンスを飼育している培地です。



【植え継ぎの様子】
15k jpg 12k jpg エレガンスの植え継ぎをしているところです。爪楊枝の先を,さらにカッターで細く削ったもの(エタノールで滅菌しておく)を使って,古い培地から一匹ずつ釣り上げて,新しい培地に移しています。



【スライドグラスに載せる】
17k jpg エレガンスをスライドガラスに移しているところです。爪楊枝で釣り上げて,水を1滴置いたスライドガラスに移しています。(これは,数学の先生に,生徒になったつもりでやってもらいました。慣れるまでは,どうしても寒天ごとすくってしまって,エレガンスが見えなくなると言っていました。)




【参考文献】

三枝敏郎 著 『センチュウ おもしろ生体とかしこい防ぎ方』農文協 \1,300
遺伝<1991/11> Vol.45 特集:センチュウの遺伝学の進展 裳華房 ¥927

【指導・助言】

 この研究を行うにあたって,青森県教育センターの矢本嘉則先生と青森県教育庁上北教育事務所の後藤和久先生には,C.elegansと資料の提供,その他たくさんのご指導と援助をいただいております。


【現時点までの観察記録】

 現時点までに、顕微鏡で撮影できた部分の画像集です。顕微鏡での画像のため、全体的に見にくいため、画像処理しました。

【切断の様子】1
14k jpg
12k jpg
 かみそりの刃で,水滴中のエレガンスを切断しています。双眼実体顕微鏡の下でやっているのは,黒い台の上だと動いているエレガンスが肉眼でよく見えるからで,顕微鏡を覗きながら切っているのではありません。
この後,カバーガラスをかぶせて,卵を観察します。



【顕微鏡撮影の様子】1
20k jpg
18k jpg
18k jpg
顕微鏡とビデオカメラの設置方法と,実際にビデオカメラで撮影しているとこ ろです。



【切断前】1
20k jpg 切断前のエレガンスです。お腹の中に,卵があるのが見えると思います。



【親の体内の幼虫と産卵口】
35k jpg 切断前のエレガンスです。お腹の中に幼虫が見えています。
この写真に写っている成虫は,なにかの理由で(寿命か?)死んで,その後体内にあった受精卵がそのまま成長して孵化し,死んでいる親の産卵口から出てきたものと思われます。



【生まれる幼虫】
37k jpg 切断前のエレガンスです。お腹のから幼虫がでてくるところです。



【卵割の様子】1
33k jpg 2細胞期と4細胞期の卵が,はっきり見えます。



【卵割の様子】2
49k jpg 2細胞期と8細胞期(?)の卵が見えます。



【卵割の途中】
21k jpg 2細胞期から4細胞期に卵割するところを撮りました。核の消失,くびれて分裂する様子がわかると思います。
割球の位置が変わり,4細胞期の割球配置【卵割の様子1】のようになるまで撮れなかったのが,悔しい!



【卵割の連続写真】
49k jpg 2細胞期から4細胞期に卵割するところを撮りました。
核の消失,くびれて分裂する様子がわかると思います。
上の写真の前後を張り合わせた物です。



Copyright (c)Wisdom96